道がまだ細いあいだに生まれた、最初の気配を置いています。
ここは、まだ言葉にならない影が静かに座っていた場所です。
#01
まだ朝になる前の、光が届かないところに、
小さな影がひとつ、そこに佇んでいました。
名前は、ありません。
声も、ありません。
ただ、そこにいるだけの気配でした。
近づけば消えてしまいそうで、
けれど、遠くから見つめていると、
その影は、かすかに呼吸しているようでした。
それは、まだ言葉になる前の、
とても静かな存在でした。
#02
小さな影が、こちらを見ました。
目が合った気がして、少し息をのみました。
#03
影は、まだこちらを見ています。
けれど、もう「こちら」だけを見ているわけではありません。
間に、風のようなものが流れました。
それは声ではなく、ただの気配の往復でした。
